早期退職という選択は、人生の新しいステージへの扉を開く魅力的な選択肢です。しかし、その実現には十分な経済的準備が不可欠です。生活防衛資金の確保も重要ですが、それと同様に、あるいはそれ以上に重要なのが「副収入源の確保」です。退職後も継続的な収入があれば、資産の取り崩しを抑え、より安定した生活を送ることができます。本記事では、早期退職を見据えて、どのように副収入源を構築していくべきかを詳しく解説します。
こちらの記事は「ロードマップ」の退職前にすることの⑧番目の項目に挙げている内容です。
なぜ副収入源が重要なのか
早期退職を実現するためには、多くの場合、貯蓄だけでは不十分です。たとえ数千万円の資産があったとしても、収入がゼロの状態で数十年を生きることは、精神的にも経済的にも大きな不安を伴います。
副収入源があることの最大のメリットは、生活防衛資金や貯蓄の減少速度を緩やかにできることです。例えば、月々の生活費が30万円必要な場合、副収入で月10万円を得られれば、実質的な取り崩し額は20万円で済みます。これは年間120万円の差となり、10年では1,200万円もの違いを生み出します。
さらに、副収入は単なる経済的メリットだけでなく、心理的な安定ももたらします。「収入がある」という事実は、自信と安心感につながり、早期退職後の生活をより前向きに楽しむことができるようになります。また、社会との接点を持ち続けることで、孤立感を避け、充実した日々を送ることができるでしょう。
副収入源の種類と特徴
副収入源には様々な種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分の状況、スキル、興味に応じて、最適な選択肢を見つけることが重要です。

労働型収入
労働型収入とは、自分の時間と労働力を提供することで得られる収入です。パートタイム、アルバイト、契約社員、派遣社員などがこれに該当します。
メリットは、比較的すぐに収入を得られることです。特別なスキルがなくても始められる仕事も多く、安定した収入が見込めます。デメリットは、時間の拘束があることと、収入を得るために継続的に働き続ける必要があることです。また、体力的な衰えとともに、継続が困難になる可能性もあります。
早期退職を見据える場合、労働型収入は短期的な収入源としては有効ですが、長期的には他の収入源と組み合わせることが望ましいでしょう。せっかく早期退職をするのですから、なるべくこれには頼らないようにしたいですからね。
スキル型収入
スキル型収入は、自分の専門知識や技能を活かして得る収入です。フリーランスとしてのコンサルティング、プログラミング、デザイン、翻訳、ライティング、資格を活かした講師業などが該当します。
メリットは、自分のペースで働けることと、経験やスキルに応じて高単価の案件を受けられることです。また、在宅で仕事ができる場合も多く、場所に縛られない働き方が可能です。デメリットは、案件獲得までに時間がかかる場合があることと、収入が不安定になりがちなことです。
早期退職前から副業として始めておくことで、退職後にスムーズに移行できます。現役時代に築いた人脈や実績が、退職後の仕事獲得に大きく役立つでしょう。自分のスキルで自分の好きな分野で収入を得るということは、退職後の生き方としても魅力的ではないでしょうか。
資産型収入
資産型収入は、保有する資産から得られる収入です。不動産投資の家賃収入、株式の配当金、投資信託の分配金、債券の利子などがこれに該当します。
最大のメリットは、労働をしなくても収入が得られることです。一度仕組みを構築すれば、継続的に収入が入ってきます。デメリットは、初期投資が必要なことと、市場変動によるリスクがあることです。また、資産を構築するまでに時間がかかります。
早期退職を見据えるなら、現役時代から計画的に資産を形成していく必要があります。ただし、生活防衛資金とは別の余裕資金で行うことが重要です。
事業型収入
事業型収入は、自分でビジネスを立ち上げて得る収入です。オンラインショップの運営、飲食店やサロンの経営、コンテンツ販売、アフィリエイトなどが該当します。
メリットは、成功すれば大きな収入が見込めることと、自分のアイデアを形にできる充実感です。デメリットは、初期投資やリスクが大きいことと、軌道に乗るまで時間がかかることです。
早期退職前に小規模で試験的に始め、手応えを確認してから本格的に展開することが賢明です。
副収入源構築のステップ
副収入源を構築するには、計画的なアプローチが必要です。以下のステップを参考に、自分に合った方法を見つけていきましょう。

ステップ1:自己分析と目標設定
まず、自分の持っているスキル、経験、興味、利用可能な時間を棚卸しします。現在の仕事で培った専門知識や技能、趣味や特技、人脈など、あらゆる資源をリストアップしましょう。
次に、具体的な収入目標を設定します。「月々いくらの副収入が必要か」「早期退職までにどのレベルまで育てるか」といった明確な目標を立てることで、行動計画が立てやすくなります。
ステップ2:副収入源の選択
自己分析の結果を踏まえて、最も実現可能性が高く、かつ自分に合った副収入源を選びます。この際、以下の点を考慮しましょう。
初期投資はどの程度必要か、収益化までにどれくらいの時間がかかるか、継続可能性はどうか、本業との両立は可能か、早期退職後も続けられるかなどです。
複数の副収入源を組み合わせることも有効です。例えば、週末はスキル型の仕事をして、平日夜は資産型収入の勉強と投資を行うといった具合です。
ステップ3:小さく始めて検証する
いきなり大規模に始めるのではなく、まずは小さく始めて手応えを確認することが重要です。週末だけ、あるいは平日の数時間だけといった形で、本業に支障をきたさない範囲で始めましょう。
この段階では、収益よりも「実際にできるか」「続けられるか」「需要があるか」を確認することが目的です。うまくいかなければ方向転換し、別の方法を試すことも重要です。
ステップ4:徐々に拡大する
手応えを感じたら、徐々に時間と労力を増やしていきます。顧客や案件を増やし、サービスの質を向上させ、単価を上げていくことで、収入を増やしていきます。
この段階では、効率化も重要です。同じ時間でより多くの収入を得られるよう、作業プロセスの改善やツールの活用を進めましょう。
ステップ5:退職前に安定させる
早期退職を実行する前に、副収入源をある程度安定させておくことが理想です。最低でも半年から1年程度、安定した収入が得られている状態を作りたいところです。そう考えるとやはり遅くとも退職日の1年ぐらい前からは退職を見据えて準備を開始する必要があるでしょう。実際に早期退職をしないことになっても全く無駄になるわけではないですから。
この実績があれば、退職後も安心して活動を続けることができます。また、退職前に顧客や取引先との関係を構築しておくことで、退職後の仕事獲得もスムーズになります。
具体的な副収入源のアイデア
ここでは、早期退職を見据えた副収入源として特に有望なものをいくつか紹介します。
オンライン講師・コンサルタント
現在の仕事で培った専門知識を活かして、オンラインで講座を開いたり、コンサルティングを提供したりする方法です。ZoomやSkypeを使えば、全国どこからでもサービスを提供できます。単価も比較的高く設定でき、場所や時間の制約も少ないため、早期退職後も継続しやすいでしょう。
クラウドソーシング
ランサーズやクラウドワークスなどのプラットフォームを活用し、ライティング、デザイン、プログラミング、データ入力などの仕事を受注する方法です。実績を積むことで単価を上げることができ、安定した収入源となる可能性があります。
不動産投資
ワンルームマンションや一棟アパートなどの不動産を購入し、家賃収入を得る方法です。初期投資は大きいですが、ローンを完済すれば、ほぼ労働なしで安定した収入が得られます。ただし、空室リスクや修繕費用なども考慮する必要があります。
高配当株投資
高配当株や配当貴族銘柄に投資し、配当金を得る方法です。年間配当利回り3〜4パーセント程度を目指せば、1,000万円の投資で年間30〜40万円の収入が見込めます。長期的な資産形成と副収入確保を同時に実現できます。
米国株も含めた高配当株のETFなども検討する価値はあると思います。ただしこれらの投資はあくまでもキャピタルゲインを期待するものではなくインカムゲインを得るためのものと割り切って下さい。つまり頻繁に売買するものではなく、なんなら一生持ち続けるぐらいの覚悟でよいと思います。
ブログ・YouTube運営
自分の興味や専門分野に関するコンテンツを発信し、広告収入やアフィリエイト収入を得る方法です。軌道に乗るまで時間がかかりますが、一度構築すれば継続的な収入源となります。早期退職前から始めておけば、退職後にはある程度安定した収入が期待できるでしょう。
YouTubeも収益化できるようになる条件がかなり厳しいといわれていますが、効果は高いと思いますので好きな人はチャレンジするのがよいと思います。ブログはオワコンだといわれていますが、決してそのようなことはないと思います。ブログをはじめて運営していく過程でいろいろな知識やスキルを得ることもできますので、こちらも無駄になることはないと思います。
副収入構築における注意点
副収入を構築する際には、いくつかの注意点があります。
まず、就業中は本業への影響を最小限に抑えることです。副業に熱中するあまり本業がおろそかになれば、本末転倒です。会社の就業規則も確認し、副業が禁止されていないか、申請が必要でないかを確認しましょう。
税金の問題も重要です。副業で年間20万円以上の所得がある場合、確定申告が必要になります。また、住民税の納付方法を「自分で納付」にすることで、会社に副業を知られずに済みます。
ただし在職中に確定申告をしていくことはよいことだと思います。税金のしくみや今まで人事部に丸投げしていた部分の知識も身に付けることができます。その知識は退職後や退職直後のいろいろな場面できっと役に立つことでしょう。
健康管理も忘れてはいけません。本業と副業の両立で無理をしすぎると、体調を崩してしまいます。適度な休息を取りながら、持続可能なペースで取り組むことが大切です。
まとめ – 副収入源は早期退職成功のカギ
早期退職を成功させるためには、生活防衛資金だけでなく、継続的な副収入源の確保が不可欠です。現役時代から計画的に副収入源を構築しておくことで、退職後の生活はより安定し、充実したものになるでしょう。
重要なのは、早めに行動を始めることです。副収入源の構築には時間がかかります。退職の数年前から準備を始め、小さく試しながら徐々に拡大していくアプローチが理想だとおもいます。
自分のスキル、興味、状況に合った副収入源を見つけ、着実に育てていきましょう。それが、理想の早期退職ライフを実現する確実な道となるはずです。


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